世界の頂点見えた3階級

 
この日の3階級の優勝者は、世界の頂点が見えてきた。特に100キロ超級の棟田が素晴らしい。常に相手に向かっていく姿勢がいい。背負い投げと足技に切れを見せ、準決勝のトメノフ戦では厳しい試合を制した。この勢いで国際大会に臨んでほしい。高橋も健闘した。欠場した高井(国士大)と共に棟田を追う存在だ。

90キロ級を制した矢崎は勝負への執念を見せた。決勝では大内刈りで技ありを奪うなど柔道の幅を広げている。泉は今後が楽しみ。準決勝で対戦したズビアダウリは昨年、チーム・グランプリで矢崎が負けた相手。その選手に勝ったことは頼もしい。矢崎と代表を 競い合うだろう。

73キロ級は金丸が安定した力を発揮した。肩を痛めながらも、
追い上げる高松と田中を退けた。01年世界選手権銀メダリストであり、さらに他選手から研究されると思う。どんな相手に対しても自分のリズムを作ることが課題だ。

嘉納杯では全7階級を日本勢が制覇した。日本男子はアジア大会で金メダル5個、ワールドカップ、チーム・グランプリではそれぞれ団体優勝と、確実に成果を出している。斉藤ヘッドコーチの指導で選手団がいい流れを続けていることを示した大会だった。
(全柔連男子強化部長、東海大教授、朝日新聞社嘱託)

2003年01月13日付、朝日新聞朝刊
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