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近況ご報告 後編(2004年4月2日)
前編より続く・・・
パリ国際柔道
アテネでのプレオリンピック大会が終わった後、デンマークに移動しました。現地の東海大学付属高校で「現代文明論」の講義を行うためです。そして1月21日から英国のエジンバラへ行き、友人の家にホームステイしながら、英語学校へ2週間通いました。
2月5日からはパリ国際柔道のためにフランスへ入りました。パリの大会は大いに盛り上がっていました。初日が1万4000人、2日目が1万3500人の大観衆です。フランスのIOC(国際オリンピック委員会)委員や閣僚も数名会場に来ていました。改めてフランスでの柔道の人気を感じました。
その他、パリではフランス柔道連盟主催の柔道ルネッサンスの勉強会に参加し、そこで 「日本の柔道ルネッサンス活動の現状 」について参加したコーチや選手たちに講演しました。また翌日にはパリで行われている国際合宿に参加しているコーチに呼びかけ、IJF教育コーチング理事の立場で対話集会を催しました。約50名の参加者があり、多種多様な、そして活発な意見交換がありました。
「我々は勝つためだけに雇われている」と主張する一部のコーチに、「柔道はただ単に勝ち負けを競うスポーツではない」と発言するコーチもいて議論は白熱しました。半分のコーチは両立することが柔道だと考え、半分は一緒に考えるのは無理というスタンスで、なかなか意見の一致を見ることはありませんでしたが、コーチとの意見交換の中で、「私たちの話を聞いてくれてうれしい!」という感触を各国コーチから感じました。参加したコーチたちは再度このような対話集会を開催してほしいとの要望も聞くことができました。
こういった議論や情報交換もこれからがスタートです。熱意のあるコーチの方たちとはe-mailのアドレスを交換し、IJF(国際柔道連盟)の動きなどを伝えていく予定です。
IOC本部、そして国際交流
2月11・12日はスイスのローザンヌでIOCを訪ねました。IOCのジャック・ロジェ会長ともお会いしました。ここでロジェ会長からうれしい言葉を聞きました。「柔道には相手に対してする敬意や尊敬があります」。会長は、柔道というスポーツの価値は勝負だけにこだわることや、派手なパフォーマンスをすることではないと、理解していただいていたのです。これを聞き、私は大変感動しました。もう少し早く聞いていたら、パリでのコーチとのミーティングで話すことができたのに、と残念に思いました。
またこの言葉を聞いて、「柔道が日本と海外を結ぶスポーツ」であることも再認識しました。柔道を通じた国際交流も勝ち負けや技術だけでなく、相手に敬意を払うといった日本の心や文化を伝えていくことだと思います。
今回の海外出張ではギリシャ、デンマーク、フランス、オーストリアの4カ国で日本の大使の方とお会いし、そういった国際交流に関して意見を交換しました。フランスではシラク大統領のスポーツ担当補佐官が柔道のレシュトン選手だったこともあり、スポーツ分野での日仏交流やイラク支援の話ができました。具体的な動きが出れば、ご協力したいと思っております。
ラストサムライ
今回のご報告の最後はエジンバラ滞在中に見た映画、「ラストサムライ」のお話です。もちろん英語版ですが、日本語のせりふが多いので助かりました…。映画の後半では涙が出ました。
この映画には日本人が無くしてしまった大事なものがありました。もちろん、捨てて良かったものもたくさんあります。しかし、捨てるべきでなかったもの、また無くしてはいけなかったものまで失ったのではないか?と考えてしまいました。
「文明開化で全てを欧米化してきたが、我々がどこで生まれたかを忘れてはいけない」。
特に感動したシーンは2つあります。1つは勝元が死ぬシーンです。大村が打てと言ったのに部下がやめ、政府側の指揮官が座礼を捧げるところ。もう1つは明治天皇が「勝元がどう死んだのか」とオールグレンに聞いた時です。答えは「勝元がどう生きたかをお話しましょう」でした。
私はこれまで同じ映画を2度見たことはなかったのですが、今回はもう一度映画館に足を運びました。日本でもう1度(3回目) ぜひ見たいと思います。ぜひたくさんの方に見ていただきたい映画だと思います。
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