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ニューヨーク語学研修 前編

国際都市で経験してきたこと(2003年8月29日)


最初のご報告は全日本の合宿です。

N.Y.から帰国した翌日の8月13日、長野県・富士見高原で行われた全日本強化合宿に顔を出しました。気になったのはやはり世界柔道で注目されている井上康生選手と鈴木桂治選手です。

この合宿前の7月下旬に、無差別級の日本代表が鈴木選手に決定しました。コーチ陣は井上でいくのか、鈴木でいくのか、難しい判断を迫られました。100kg級代表が既に決まっていた井上選手は2階級に出たかったと思いますが、結局、無差別級は鈴木選手に決定しました。この決定で良かったと私は思っています。鈴木選手は成長していますし、本来の柔道ができれば充分戦えると感じています。

無差別級では代表になれなかった井上選手ですが、気持ちを切り替えて100kg級に全てをかけて欲しいと思い合宿を見に行ったのですが、頭を丸坊主にしており、気分一新「やるぞ!」という気持ちがひしひしと伝わってきました。これを見て世界選手権3連覇の確率は高い、と感じました。両名とも調子が良さそうで、これから2人はしのぎを削ってこれから一回りも二回りも大きくなっていくでしょう。

他に目についたのは、60kg級の野村忠宏選手です。明るく若々しい感じがしました。また、100kg超級の棟田康幸選手もケガが順調に回復しており期待できます。世界柔道のチケットはほとんど売り切れとのことですので、遠方やチケットが手に入らなかった方は、ぜひテレビの前で応援してください。

私は男子の強化部長として世界柔道を迎えますが、一方で国際柔道連盟の教育・コーチング理事に就任しているでしょうから、目立って日本チームの応援ができないかもしれません。それがちょっと辛いところです…。

次はニューヨークでの語学研修のご報告です。

7月15日〜8月12日、帰国便のエンジントラブルで予定より帰国が1日延びましたが、無事ニューヨークでの語学研修を終えてまいりました。この期間は英語を徹底的に鍛えられ、大変勉強になり、充実感と疲労感で一杯となりました。

今回はニューヨーク在住の友人、ラドミール・コバセビッチがコーディネートをしてくれました。コバセビッチはユーゴスラビアの出身で私より3歳年上ですが、東海大学では1年後輩で、現在はN.Y.の高校で教師をしています。彼の自宅に泊まらせてもらい、4週間つききりで面倒を見てくれました。

英語のレッスンは、毎朝7時から12時まで講師がついてマンツーマンです。時にはコバセビッチも加わり2人も相手にしなければなりません。一生懸命聞き取って話そうとするので、すぐに体が緊張し固まってしまいます。途中から授業を7時30分からに変更してもらい、授業の前に散歩や自転車に乗って体をほぐしてから、レッスンに臨みました。ですが研修の後半は疲れで、その30分も睡眠時間になってしまいました…。

午後からは外へ出かけ、食事や雑談、また話し合いの機会を多く設定してもらいました。NBC上席副社長や、2112年のN.Y.オリンピック誘致事務局長とのミーティング、チェルシーピアというスポーツコンプレックスでも意見交換を行いました。また会議になれるため、教育関係者の集いにオブザーバー参加することもコバセビッチが手配してくれました。最初の20分くらいは会議内容も理解できましたが、途中から頭が耐え切れず、ボーッとなり英語が耳から耳に抜けていく状態になりました。

ワシントンにも4日間滞在しました。この時には加藤駐米大使からご招待をいただきました。「たくさんの方をお招きします」と言われたのですが、「緊張してしまうので、少人数にして下さい」とお願いしてしまいました。加藤大使は、2人のお兄様が柔道をやっておられたそうです。加藤大使とは世界柔道について、有意義な意見交換ができました。柔道を通じて、細くても国際交流の役に立ちたいと改めて思いました。

またペンタゴンで宇宙飛行士の方ともお話しました。さらにミュージカルやスポーツ観戦(ニューヨークヤンキースやサッカーのマンチェスターユナイティッド対ユベントス)、そして柔道の指導も数回行いました。

コバセビッチからは、「これから国際舞台で仕事をしていくのに先輩は純粋すぎる。政治の世界はそれでは通用しない。武器を持っている相手にニコニコ手ぶらで行くようなもの」だと心配してくれて、今回の滞在中に様々な経験ができるようにしてくれたのです。

今回の経験は非常に貴重なものでした。コバセビッチの言ったことも日を重ねるうちに理解できるようになったのです。

中編へ続く…







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