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ロシアへ行ってまいりました 前編

プーチン大統領と小泉首相(2003年6月17日)
 

 5月22日の夜に外務省の方から連絡があり、小泉総理大臣のロシア訪問にご同行してプーチン大統領とお会いすることになりました。

今回はサンクトペテルブルク建都300周年記念行事が行われ、EUや旧ソ連邦など40カ国の首脳が集まりました。サンクトペテルブルグは、昔レニングラードと呼ばれていた大都市で、ロシアで2番目人口450万人です。大きな街ですが、運河や川などが多く美しい街で「北のベニス」とも言われています。私がこの街を訪れるのは1987年以来2度目です。この時はロンドンに留学していた時で、国際ジュニアの大会を視察に行きました。

私が小泉首相にご同行することになったのは、今年1月に行われたプーチン大統領と小泉首相の会談の中で、首相が話された2つのことがきっかけです。

1つは大統領が執筆された「柔道、わが人生」の日本語訳が出るときには私が推薦文を書くということ、そしてサンクトペテルブルクの300周年記念には私を連れて行くので、大統領が柔道を学んだ「上級総合スポーツ学校」で、3人で柔道談義をしましょうというお話でした。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、プーチン大統領は柔道家で、今でも週2回は柔道着を着て道場に通われているそうです。そして「柔道はスポーツではなく、哲学だ」と考えておられる立派な柔道家です。

1月にそのように約束をされたのですが、今回は各国の首脳が集まっていることに加え、記念式典など公式行事が多く、大統領のスケジュール調整が難しい状況でした。そのため私も直前には、「首脳会談は行われないかもしれない」と思い、私がロシアへ行くことはないのでは、と思っておりました。

しかも「上級総合スポーツ学校」は市内から車で15分かかりますので、分単位のスケジュールで動かれている大統領にとって、往復30分は貴重な時間です。ですが、最後の調整で首脳会談が行われることになり、5月29日に出発することになりました。今回2カ国だけの首脳会談をロシアと行ったのは、日本以外ではアメリカだけと聞いています。

首脳会談は30日の朝10:30からでした。私は先に「上級総合スポーツ学校」へ行き、お二人をお待ちしておりました。この学校はネヴァ川という大きな川の近くにあり、とてもいい環境です。ここでは柔道のほか、レスリング、サンボなどの格闘技系の種目を教えています。中でも柔道は「柔」と川の名前を合わせて、「ヤワラネヴァ」という名前のクラブ(会長はプーチン大統領です)があり、ナショナルチームの選手が大半を占める強豪です。






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